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【その他】愛ってやっぱり最強じゃん

おっさんずラブ」へのラブレターです。

 

 

恋すること、人を愛すること、リアルに10年近く忘れていた。

駆け引きじみたことをしてみたり、メールの文面に一喜一憂したり、何か美味しいものを食べたとき一緒に食べたいと思ったり、美しいものを見たとき、あの人と共有したいと思ったり。そんな眩しい気持ち。そして、いつしか打算的に、世間の目やまだ見ぬ将来と天秤にかけ……いや、違う。結局は、自分の弱さ、みじめな部分を目の当たりにして、傷つきたくなくて、「もうこれでいいや」と投げ捨ててしまった。その恋心とまだ蕾のままの愛。
甘くて苦い記憶は、効率的に生きるには邪魔なので、恋はあまりにストレスなので、地中深くに埋めたはずなんだけど、一気に掘り返されてしまった。
掘り返したもの持って、どたばたと土足で入りこみ、どんとテーブルに置き去っていた。あの二人が。


人に恋をすることって勇気が必要だと思う。
その人にただただ夢中になる段階は楽しい。見た目も気持ちも美しくいようと思うし、心に余裕もできる。でも、その次のステップ。相手に拒否されたら?付き合うことになっても、結局ダメになるんじゃないか。そういう考えに一度囚われると、もう前に進めない。ああ……と来た道を引き返して、閉じこもってしまう。
そう考えると、人に恋するの、怖いなって思うし、もういいや、って思う。そんな引きこもりになるなら、恋、無くてもいいじゃんって思う。

仮に、奇跡的に恋が叶っても、次は「愛する」という、めちゃくちゃ難易度の高いステージが出てくる。
人を愛するということは、自分のプライドを取り払って、弱さを認識して、相手に真っ直ぐに向き合うことだと思う。それはとても苦しいことだ。自分の弱さに向き合うのは、今まで何に恥、何を恐れ、何に傷ついて、傷つけてきたか振り替えることだし、そんなこと思い出したくもないし、そんな経験もうしたくないから、めちゃくちゃ重い岩とかで蓋をしてしまいたい。でも、塞いだら塞いだで、「もう消えたかな?」って10年後くらいに覗いても、まだ残ってるし、なんならいい感じに発酵して、もう手に負えない状態になってる。だから、もういっそ誰かにこじ開けてほしいとも思う。でも、最終的に蓋をぶっ壊すのは自分だ。剥き身の心をさらけ出すのは自分でしかできない。

 

そして、「愛される」ということも難しい。本当に「こんな自分でいいのか」と思ってしまう。相手の愛に怯むし、本当の自分を知られたら、嫌われたら、と思うと、もう早いうちから嫌われた方が楽だなと思う。

 

そうやって生きてきた。かなりこんがらがって、ここまで来てしまったと思う。

 

でも、春田と牧を見ていたら、もう、なんていうか、こんなに恋することって楽しくて(辛いこともあるけど)、愛って尊いものなんだって思い知らされた。

 

春田に対する牧の真っ直ぐな気持ちには、平伏するしかない。
春田に第2話で結構な振られ方をしたのに(裏切られたって言われるの、まじでキツくないですか)、好きすぎておでこにキスしてしまうし、そもそもその前に「風呂でキスしたのは冗談」って言っておきながら告白するし、第5話で「かたちだけじゃなくて、本当に好きになってもらうよう頑張ります」とか言ってしまうし(夏のボーナス全部あげたい)、第6話では春田の幸せを優先してしまうし(自分が傷つくことを恐れてもいた)、それ故にいっぱいいっぱい傷ついて、春田のことも傷つけて、それでも、一年経っても春田のことを忘れられなくて、辛くても春田のことを想い続けていた…。
いや、もう、こんな…こんなに愛おしい存在おりますか……愛おしすぎて発狂する。私が狂っても何もならないので、せめて柔かな風が風鈴を揺らす縁側とかで、昼寝をしていてほしい……そこにそっと薄めのタオルケットを掛けてあげたい……起きたら忘れてしまうけれど何か幸せだったな、みたいな夢を見てほしい……

牧は自分のこと完璧じゃない、って言う。確かに完璧な人間なんていない。絶対に、存在しない。でも、春田を思う気持ちは揺るがなかった。自分が傷つくことを恐れて身を引いた、とこぼしたけれど、最後にはその恐怖を乗り越えて(というより、春田を思う気持ちが、恐怖を凌駕した)、春田を受け入れることができた。春田を信じて、自分を信じた。
それは春田が「好きだ」と抱きしめてくれたから、できたことかもしれない。でも、最終的には自分の意思だから。勇気を持って、プライドも弱さも恐怖も粉々にするのは自分でやるしかないから。
だから、最終話のプロポーズは、本当におめでとう…おめでとう…って嬉しくて泣きました。二人が結ばれたからというのもあるけど、牧が勇気を出して春田の背中を抱きしめた、っていうことが嬉しかったから。(ここの、春田の背中に腕をそっとまわして抱きしめる演技が、本当に上手すぎて震えた)

 

春田は、なんていうか、牧とは違って自分に真っ直ぐだなあと思う。そして、優しい。周りの空気を読むタイプで、流されすぎるところがある。だからこそ、愛おしいなあと思ってしまう。
自分の感情を素直に表現したり、後輩の面倒見がめちゃくちゃ良かったり、マロじゃないけど、まじでリスペクト。
自分が作ったご飯、あんなに美味しく食べてもらったら、そりゃあ好きになるわ。営業虎の巻?愛しかないじゃん!そんなの!そして、相手を傷つけたかなって思ったら、ちゃんと謝って、自分の気持ちを自分の言葉で伝えるところ……私はできないことあるから、羨ましい。

正直、牧が洗濯物を畳む横で喋ってるところとか、食器洗わないとか、デート中に他の人と合流するとか、「てめぇ……」と怒りで拳を握るシーンがありましたが、結局その素直さと笑顔でチャラになってしまうんだよな……(※だめんずうぉーかーの思考)(ちずちゃんが告白する前に、なんか悔しい、って呟いたの分かる…分かるよ……)

その素直さと優しさゆえか、「なぜか」部長と同棲して結婚しそうになるけど、最後の最後に、牧との思い出が、そして牧が、いかに自分にとって大切だったか気付いたね……。(遅ッ!と思ったし、牧はもちろん、部長も傷つけたし、「はっきり言わないのはやさしさでもなんでもない」んだよって実感しました……牧さんのありがたいお言葉、胸に刻んで生きていく……)途中、ところどころで、「それはアナタ、愛ですよ」って教えてあげたくなることがあったけど、ギリギリまで気付かない……でもちゃんと最後に、やっぱり自分の言葉で、牧に気持ちを伝えたね……やっぱりやるときはやるんだね…恐ろしいわ…

もう、春田は誰かのことを思ってごちゃごちゃ考えるんじゃなくて、直観で行動した方が上手くいくことが多いので(見かねた周りがカバーしてくれるというのもある)、これからも「牧が好きだ」、「ずっと一緒にいたい」っていう思いで突っ走ってください。突っ走れば、勝手にみんな着いていきます。でも牧の手は握っていてあげてください。

それがきっと春田の「愛」です。

 

ちょっと本編を思い出して、語りすぎたけど、じゃあ、私はここまで、人に向き合って恋して、自分を認めて、人を愛することができるだろうか?

わからない。でも、今は、すっごい恋したいっていう気持ちと、なんか私自分のこと好きだし、人のこと愛せそうだな?!という謎の自信がふつふつと湧き上がっている。

だってあんな、人を強く思う気持ちを見せつけられたら、心が動かないはずがないもの。そりゃ火、ついちゃうでしょ。

これから、もう恋なんてしない!とか自分のこと嫌いだな、とか自暴自棄になるかもしれない。他人の何気ない言葉に異様に落ち込んだり、セクハラとかパワハラを目の当たりにして「この世はクソ」って終末を望んでしまう日が来るかもしれない。

でも、二人(だけではないけど)の見せてくれたもの、残していったときめき、大切にして、自分の殻に引きこもりそうになった時、思い出したい。重い蓋で自分の弱さを封じる前に、蓋を少しずつ壊したい。いや、多分もう壊し始めてる。最終話を見終わった直後から。だから、このまま、ちょっとずつでも削りとっていきたい。疲れたら、休んでみかんゼリーでも食べよう。時間はどれくらいかかってもいいと思う。だって、恋するのに、何かを好きになるのに、年齢も性別も関係ないんだから。

 

こんなに心動かされたドラマ、初めてでした。おっさんずラブ(改めて文字にすると……なんつータイトルだよ)、本当にありがとう。感謝してもしきれない。春田と牧以外のキャラクターについても、言いたいことたくさんあるんだけど、今回は二人のことだけに止めよう。

ほんとにほんとにありがとう。